来るべきアレフバー の世界

ペルシア文学の余白=世界文学の中心

アドニス『暴力とイスラーム:政治・女性・詩人』

1月初めに通勤電車の中で読んだ本。

 

暴力とイスラーム 政治・女性・詩人

暴力とイスラーム 政治・女性・詩人

 

 

これはいただけない。

 

アドニス(Adonis)と言えば、昔、大学の図書館でアラビア語の本を整理しとったときに何度も名前を見たでよお、まあ重要な詩人なんだろうと思っとったし、どっかでエドワード・サイードも褒めとったから、まあマフムード・ダルウィーシュぐらいに一目置かれるべき詩人なんだろう、と思っとったんだが。

 

しかしこの本のアドニスは、完全にダーイシュ(イスラム国)やその他の過激ジハード主義者を批判するために、イスラームスンナ派的な)まで否定してしまうタイプの、あれだね、一昔前の、すっかり西洋化した第三世界インテリになり下がってしまっている。インタビュアーの女性も完全に西洋化されたタイプの人で、二人してイスラームのあれはダメだ、と言いあうばかりで話が展開しない。

 

まあ、1930年代生まれで、西欧で暮らす知識人にとっては、西欧の知性を身に着け、西欧の言葉で語るっていうことが、なんか良いことを言っちゃってる人になるための指標なのかも知れないが。その点は日本のこの年代の知識人でも同じか。

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