来るべきアレフバー の世界

ペルシア文学の余白=世界文学の中心

ゲルプケ訳『アミール・アルサラーンの恋愛と冒険』

おはこんばんちわ。4月になって、朝、家族が観ているテレビ番組「ZIP!」で唯一、目の保養になっていた応援していた杉山セリナさんが殆ど出なくなってしまったので、朝から嗚咽しながら電車に乗り込む日々です。

さて、絶版になっている『名高きアミール・アルサラーン』のドイツ語訳がAbeBooksに手頃な価格で出ていたので購入したのですが、さきごろ届きました。

 

 

思ったより小さいです。左の講談社学術文庫と比べると、小ささが分かるでしょうか。

 

右の本はペルシア語オリジナル(ジャアファル・マフジューブ版)です。

ハードカバーで、ページには薄めの紙が使われています。イラスト等は一切なく、各章には、ペルシア語の見出しがついています。

 

書誌情報:

*Naqīb al-Mamālik

Liebe und Abenteuer des Amir Arsalan : Roman / Naqib al-Mamalek ; Erstmals aus dem Persischen übersetzt von Rudolf Gelpke. (Manesse Bibliothek der Weltliteratur ; )

[Zürich] : Manesse, c1965. --  599 p. ; 16 cm.

 

Wikipediaによると、版元のManesseは、1944年にチューリッヒで設立された出版社で、古典文学・世界文学の出版で知られています(現在はランダムハウスの子会社)。ペルシア文学分野ではほかにニザーミーの『ホスローとシーリーン Chosrou und Schirin』、『七王妃物語 Die sieben Geschichten der sieben Prinzessinnen』、『ライラとマジュヌーン Leila und Madschnun : der berühmteste Liebesroman des Morgenlandes』、ハーフィズのガザル詩 Ghaselen 、ニザーム・アル=ムルク『統治の書 Das Buch der Staatskunst, Siyāsatnāma : Gedanken und Geschichten』なんかの翻訳も出しています。平凡社東洋文庫のレパートリーとも重なる部分があります。 

この『アミール・アルサラーンの恋愛と冒険 Liebe und Abenteuer des Amir Arsalan』は1965年の訳で、その7年後に43歳の若さで死んでしまった訳者のルドルフ・ゲルプケという人は、もしかするとLSD(薬の方)によるトリップとオリエントへの憧憬を同列に見てしまうような人だったのかも知れません。私はドイツ語がよく分かりませんが、序文を見ると、やたらとリーベ、リーベと書いてありまして(笑)

その約半世紀後に、極東の島国で私のようなLSD、じゃなかったジョギング愛好家の、リーベに生きる男たち(北斗の拳)に影響を受けて乱暴者に育った42歳のおじさんが、インターネットで自分の訳書を買い求め、ニヤニヤしながら眺めたり撫で回したりているなどとは、ゲルプケさんも想像しなかったでしょう。やっぱり翻訳って重要ですね。

 

ちと話はずれますが、翻訳出版史に輝かしい足跡を残した(?)シリーズといえば、平凡社のペルシア文学叢書があります。

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我が家の家宝の一つ、平凡社のペルシア文学叢書版『ハーフィズ詩集』。何を隠そう、私は2冊持っている(くどい!)。同じシリーズの『ホスローとシーリーン』も持っている。

 

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天染めがされており、表紙は金色になっています。

 

一時期、蔵書を自炊することにはまっていましたが、紙の本にはやはりモノとしての存在感と経年による重みがありますので、捨てられません。

無論、外見に対するフェティッシュではなくて、中身こそが重要なのですが。

 

中身が・・・

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