来るべきアレフバー の世界

ペルシア文学の余白=世界文学の中心

追悼上映「ありがとう、キアロスタミ!」(8月17〜19日)

先日、斯界の先輩たちとメシを食いながら、波斯文学をどげんかせんといかん、と語り合ったのですが、そのとき、渋谷のユーロスペースキアロスタミの追悼上映があるらしいという話題が出ていたのを、春田先生のブログを読んで思い出しました。17日から19日までです。17日の夕方はおすぎさんの対談もあるそうです。興味のある方はどうぞ。

 

会期中に上映される作品は、『ドキュメント:キアロスタミの世界』、『クローズアップ』、『友だちのうちはどこ?』、『ライク・サムワン・イン・ラブ』の4作。

 

10月にもキアロスタミ作品の上映が予定されているようです。

 

夏バテにつき以上(笑)

 

今週のお題「映画の夏」

 

でした。

 

 

ところで、13日に池上彰さんの番組「ニュースそうだったのか!!」で世界三大宗教の特集をやっていたので、お茶の間で食事の後に観ていました。

 

www.tv-asahi.co.jp

 

イスラームについての解説、一般の人が抱くようなイメージに対して、かなり偏見を解消しようという姿勢に満ちあふれていたのですが、個人的にはモヤモヤする部分がありました。

 

例えば、シーア派スンナ派の違いについて、シーア派の語源が「アリーの党派(シーア)」であり、アリーの血統のイマームを指導者と認めるのに対して、スンナ派は「慣習(スンナ)」に従う、とのみ解説していましたが、それでは「慣習」が何を意味するのか全然わかりませんね。ここでいうスンナというのは預言者ムハンマドの慣行を意味するので、スンナに従うというのは、クルアーンコーラン)に従うのと同じレベルの厳格な宗教的な意味があるのですが、あの解説だとまるで世俗的なユルい人たちととられかねない。実際、スンナ派にもシーア派にもユルい人たちはいますが、それはスンナ派の定義や「慣習」とは別次元の問題です。

 

また、イスラームについての解説部分全体が、イスラームそのものについては悪く言ってはいけないという過剰なまでの配慮を感じさせるもので、その点にも少し違和感を感じました。その一方で、イスラーム教徒については、クルアーンの教えを守ってない人も結構いるとか、だらしない側面をわざわざ指摘していたのが気になりました。池上さんからすればイスラーム教徒に対する親近感を抱かせるためだったのか、分かりませんが、番組的には、イスラームそのものを擁護して、ダメな面をイスラーム教徒に帰するというやり方で、イスラーム賛美にも批判にもならないようにバランスを取った形になっており、結局の所、近寄りがたいという態度が透けて見えるようでした。

 

それでも、数多ある偏見丸出しの解説よりは、ずっとまともな内容だったということは言っておかねばなりません。

 

仏教のほうはブッダとかブッダガヤとか歴史的な話題が多かったと思いますが、イスラームについても、テロだとかヘジャブだとかいう皮相的な話題でなく、歴史やイスラームが育んだ文明についても取り上げて欲しかったですね。

 

東方の医と知―イブン・スィーナー研究
 

 

 

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