来るべきアレフバー の世界

ペルシア文学の余白=世界文学の中心

サルマン・ラシュディの新作はアヴェロエスも登場する現代のアラビアン・ナイト?

9月8日に出たばかりの本です。 

 

Two Years Eight Months and Twenty-Eight Nights: A Novel

Two Years Eight Months and Twenty-Eight Nights: A Novel

 

  

ブッカー賞受賞作『真夜中の子供たち』(1980年)、イスラーム預言者を冒涜したとしてホメイニ師から死刑宣告を受ける原因となった『悪魔の詩The Satanic Verses』(1988年)などで世界的に知られ、現在も精力的に作品を発表し続けているサルマン・ラシュディの最新作は、12世紀の哲学者イブン・ルシュドとその子孫が登場するSF作品。

なんでも、ラシュディ(ルシュディー)という姓(Rushdie)は、信仰よりも理性を重んじた12世紀のアンダルスの哲学者、イブン・ルシュド(アヴェロエス)にちなんで、父が自分でつけたものらしいです。いかした親父ですね!宗教も諷刺を受け入れるべきだと主張するラシュディの精神は、アヴェロエスへの親近感から来るのでしょうか?

 

『二年八ヶ月と二十八夜』という、千夜一夜を彷彿とさせるタイトルをもつ本作は、12世紀のスペインで、イブン・ルシュドと、美女ドゥニア(アラビア語ドゥンヤー)が恋に落ちる逸話から始まります。ドゥニアは人間の姿をしているが本当はジン(精霊、妖精)の世界のお姫様。そして、舞台は近未来のニューヨークに移り、庭師のミスター・ジェロニモを中心とする、不思議な魔法の力を受け継いだドゥニアの子孫たち(ドゥニアザットと呼ばれる)が、光と闇の大戦争に立ち上がる・・・別に読んだわけではないが、ネット上の情報をかき集めると、大体こんなプロットらしいのですが(間違ってたら済みません)、敵対する悪のジンは、「不寛容なペルシアの神学者ガザーリー」に導かれているんだとか(笑)。ラシュディ作品には珍しくないことかも知れませんが、色んな意味で、色んな人の反感を買いそうだなあ・・・

 

おら、しらね〜

 

参考サイト:  

本人公式サイトのページ:

ランダムハウスのページ:

日本語で読めるラシュディ作品(順不同):

ムーア人の最後のため息

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真夜中の子供たち〈上〉 (Hayakawa Novels)

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真夜中の子供たち〈下〉 (Hayakawa Novels)

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東と西 (新しい「世界文学」シリーズ)

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悪魔の詩 上

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悪魔の詩 下

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ハルーンとお話の海

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続悪魔の詩―導師の最後

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恥 (Hayakawa Novels)

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ジャガーの微笑―ニカラグアの旅 (越境の文学 文学の越境)

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