来るべきアレフバーの世界

ペルシア文学・イラン文化研究と図書館の話

アマンジ・シャクリー『カワと7にんのむすこたち』

前回記事からあっというまに2週間が過ぎ、もう7月ですね。時間の経つのが早すぎる、というか、最近ブログのことを忘れています・・・

 

さて、6月18日の公開講演会「中東怪異文学の世界」は、思いのほか多数のかたに来ていただき、当初印刷したレジュメが足りなくなるほどでした。

 

alefba.hatenadiary.jp

 

映画とか、文学以外のジャンルに頼らずとも、怪異文学とか、ミステリーとか、文学的なテーマでもちゃんと人が集まるんだなあ、と、ある先生が感心していましたが、文学はまだまだいけるし、中東もこれからが熱い!中東×文学はこれからドカーンと人気が出るぞ〜との妄想を新たにしました。

 

もちろん、コメンテーターを引き受けて下さった東雅夫さんや他の先生方の集客力、「怪異」というテーマ、早稲田という場所、色んな要素が合わさっての今回の満員御礼ということだと思います。ありがたいことです。

 

本務のほうでは、先日(30日)学内向けに「アジア研究文献探索セミナー 中東・イスラーム研究文献編」をやったのですが、ありがたいことにほぼ満席でした。やっぱり中東は熱い!プレハブ3階も暑い!

U-PARL » 【アジア研究文献探索セミナー】中東・イスラーム研究文献編

 

図書館職員の方にも来て頂き、自称ミドルイースト・ライブラリアン冥利に尽きます。1時間しかないので、一般的な話が多くなってしまいましたが、次回(あるのか?)はもう少し具体的なツールやデータベースの使い方を掘り下げられるといいかな、と思います。

 

『カワと7にんのむすこたち』

 

さて、先日、この絵本がどこかで紹介されているのをみて、クルドのおはなしということで気になってたんですよ。

 

カワと7にんのむすこたち クルドのおはなし (日本傑作絵本シリーズ)

カワと7にんのむすこたち クルドのおはなし (日本傑作絵本シリーズ)

 

 

それで図書館で読んでみました。こういう本を探せば、ちゃんと持っているのが府中市図書館。ありがたや。

 

物語は、主人公カワの住む国の王様「パシャ」が、結婚式の日に怪しい男に呪いをかけられ、両肩から2匹の蛇が生えてくるところから始まります。・・・肩から蛇?これってザッハークか?

 

ザッハーク(ضحّاک, Zahhāk)は、ペルシアの叙事詩『シャー・ナーメ』などに登場する、両肩に蛇を生やした王である。(ザッハーク - Wikipedia

 

とか思いながら読んでいて、鍛冶屋の「カワ」というのはペルシア神話に出てくるカーヴェのことかと、やっと気づいた次第。カーヴェはクルド語ではKawaというんですね。絵本の物語では、カワがパシャを倒し、山に避難していた息子たちが帰ってきて、無事にノウルーズ(春分の日を起点とする新年)を迎えられたというお話になっていますが、フェルドウスィーの『王書(シャー・ナーメ)』に出てくるカーヴェは、蛇王ザッハークの圧政に対して立ち上がる反乱の旗手として描かれています。 

王書―古代ペルシャの神話・伝説 (岩波文庫)

王書―古代ペルシャの神話・伝説 (岩波文庫)

 

 

実際にザッハークを倒すのはフェリードゥーン王なのですが、カーヴェは圧政に対する抵抗のシンボルとして、近代において、ナショナリスティックな啓蒙思想家たちによってしばしば引き合いに出され、そのイメージが定着しました。1916年にタギーザーデがベルリンで発行した雑誌『カーヴェ』はこの人物から名を取ったものです。 

 

http://www.iranicaonline.org/uploads/files/kava-journal-2-fig1.jpg

出典:KĀVA (Kaveh) newspaper – Encyclopaedia Iranica

 

左端が伝説の人物カーヴェ。手に持っている旗は「カーヴェの旗」として知られ、ペルシアの(神話上の)王たちに用いられたとされますが、サーサーン朝ペルシアの軍がアラブ軍に敗れたことでアラブの手に渡り、宝石の飾りを取り外されたのち、カリフ・ウマルによって燃やされた、とバルアミーの歴史書は伝えています。

 

明日からはアニメ『アルスラーン戦記 風塵乱舞』も始まります。

arslan.jp

 

この夏はペルシア文学が熱い!!

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