読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

来るべきアレフバーの世界

ペルシア文学・イラン文化研究と図書館の話

『名高きアミール・アルサラーン』第11章のあらすじ

 (前回までのストーリーが分からなくなってしまった方、新たに読み始めた方は、ページ下部のリンクからどうぞ。)

 

f:id:iranolog:20150516224403j:plain

 第11章「流浪」

さて、自宅で上機嫌に過ごしていたカマル大臣のもとに、ペトルス・シャーが自ら牢獄へ行き、シャムス大臣を釈放したという知らせが入る。状況を察したカマル大臣は、ファッロフ=ラカーを失って涙に暮れるアルサラーンのもとへ行き、王女は死んではいない、自分に協力すれば王女を目の前に連れてくると約束し、宿敵を倒すためにアルサラーンの力が必要であると説明する。

カマル大臣は、アルサラーンに1冊の書と弓矢を渡し、ここを下った湖のそばで弓矢を前に置き、この本を読むよう命じる。カマル大臣曰く、そうすると「読むな」という声が聞こえ、庭園の隅から炎があがるが、絶対に本を読むのを止めてはいけない。炎が近づいてくると、中から竜が現れる。絶対に敵の言うことを聞いてはいけない。竜が近づいてきたところで、まず竜の右目を、次に左目を射るように。そして、どんな声が聞こえても、本を読み続け、王女の姿が現れたとしても、惑わされてはいけない。本を読むのを止めろと言われても止めないように、また決して後ろを振り向いてはいけない。

アルサラーンが本を読み始めると、カマル大臣の説明の通り、どこからか声が聞こえてくる。声は、本を読むのを止めて、カマルに弓を射るよう命じる。

カマル大臣の言いつけ通りに声を無視しながらも、どこから声がするのか不思議に思い、確かめようとするアルサラーン。作戦通りに竜を射ようとすると、竜を射ずにカマルを射ろという声がする。竜を射ろというカマルの命令と、カマルを射ろという謎の声に戸惑い、アルサラーンがカマル大臣の言いつけを破って後ろを振り返ると、そこには黒い服をまとった王女がいた。

アルサラーンは、カマル大臣に向かって弓を放ち、その右目を射抜く。すると嵐と雷鳴がおこり、あたりは夜中のように暗転し、アルサラーンは気を失った。

気がつくとアルサラーンは砂漠にいた。渇きに耐えながら歩いて行くと、見知らぬ庭園に着いた。助けを求めて入っていくと、嘆きの声が聞こえる。その声に近づいていくと、そこにいたのは王女ファッロフ=ラカーであった。

王女は4本の釘に縛りつけられ、胸には重石を乗せられ、体の自由を奪われていた。彼女は、自分の忠告を聞き入れなかったアルサラーンを責めるとともに、カマル大臣には絶対に勝つことはできないから一人でルームに戻るよう懇願する。もしカマル大臣が自分を釈放すれば、自分もルームに向かうが、釈放の望みがないとわかったら自害すると王女は言う。

アルサラーンは、王女と運命をともにする覚悟でそこに留まり、しばし酒を飲みながら王女とともに過ごす。

空が白み始めた頃、アルサラーンは王女の主張を聞き入れてそこを去ることに決めるが、その前にもう少し酒を飲もうとしていたところに、カマル大臣が現れる。

アルサラーンは、剣でカマル大臣の腰に切りつけるがビクともせず、反対に剣が粉々に砕け散った。カマル大臣の一撃で気を失ったアルサラーンが再び目覚めると、彼は木に縛り付けられていた。

カマル大臣は、王女の鎖をほどき、王女に剣をもたせ、その手でアルサラーンを殺すよう迫る。王女は、自分はスズメすら殺したことのない15の小娘、愛するアルサラーンを殺すぐらいなら死んだ方がましだ、殺したければ自分で殺すがいい、と訴える。

カマル大臣は、自分が王女を愛しており、邪魔者であるアルサラーンが恨みを抱いて死んでいくよう、このような拷問を課すのだと言う。しかし、王女が自分に従わず、怒って剣を投げ捨てるのを見ると、カマル大臣は剣を拾って自らアルサラーンに襲いかかった。

絶体絶命を悟り、アルサラーンは神に助けを乞う。すると突然、天空から様々な声が轟いて空が真っ暗になり、雲の中からにゅっと手が伸びてきて、カマル大臣と王女の襟首を掴んで宙に持ち上げた。

恐怖で気を失ったアルサラーンが目を覚ますと、あたりは明るい午後にもどり、カマル大臣も王女もいなくなっていた。ここにいれば再び手が出てくると思い、アルサラーンはカマル大臣の剣と食料をもって、庭園を出て果てしのない砂漠へと踏み出した。

食料は十日で底をつき、レンゲやアザミの根っこを食べて飢えをしのぎながら、アルサラーンは半年間も荒野をさまよい、髪や爪は伸び放題、衣服もぼろぼろのやつれた姿になりはてた。

ついに円錐状に尖った山を見つけ、アルサラーンは山の頂きへと登っていった。そこは緑豊かなところで、 見下ろすと緑が続くすそ野の先に、高い壁を持つ立派な砦があるのが見えた。アルサラーンは一晩そこで疲れを癒やしてから砦に向かうことを決心する。■

 (8/22 あらすじ部分の文章を少し直しました。)

 

ファンタジー色が強くなってきましたね。てゆうか、王女ってまだ15歳だったんですね。条例だいじょうぶかな・・・

 

次回は第12章「石と悪魔のフーラード=ゼレ(鋼鎧)」です。どうぞ気長にお待ち下さい。

 

以前の記事:

alefba.hatenadiary.jp

 

Copyright © Yasuhiro Tokuhara, All rights reserved.