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来るべきアレフバーの世界

ペルシア文学・イラン文化研究と図書館の話

ナーセル・ホスロウ(生誕)千年記念国際集会について

関係者には既に情報が行っているかと思いますが、ナーセル・ホスロウの生誕千年を記念した研究大会がテヘランで開催されるようです。(ナーセル・ホスロウって誰だよ!?っていう人は、こちらをゴラン高原KAKEN - イラン思想史におけるナーセル・ホスロウ:クルアーン解釈学と哲学的世界観の交錯(08J00398)

 

といっても、ナーセル・ホスロウの生年はヒジュラ暦394年、西暦では1004年というのが通説なので、厳密には1010年記念ということになりますが・・・なぜ今なのでしょう?

 

ナーセル・ホスロウ記念学会は過去に3回行われている

過去、本格的なナーセル・ホスロウ学会みたいなのは3回開かれています。

最初に開かれたのは、1974年にマシュハド(フェルドウスィー大学)で開かれたもので、ジャアファル・シャヒーディー、エスラーミー=ノドゥーシャン、ジャラール・マティーニー、ゴラーム=レザー・ユーソフィーなどの大御所が参加しています。

この大会の内容は記念論集として刊行されています。イスラーム革命前の世相を反映してか、社会批評家としてのナーセル・ホスロウに焦点を当てるものもあれば、イラン人なのにアラブのファーティマ朝に荷担した駄目なヤツとして批判するものもあれば、ソ連のベルテルス(息子アンドレイのほう)がイワノフの悪口を言っているものとかがあって面白いです。

実はこれも千年記念だったのです。ヒジュラ太陰暦で数えて、1394年というww

ハンスバーガー氏は900年記念と書いていますが、没年から数えたのでしょうか。それも一理あるのですが、ナーセル・ホスロウの没年は不明です。

しかしよくよく考えると、太陽暦で記念する意味も、よく分からないですが。

 

2回目と3回目は、本当の(?)太陽暦での千年を記念した学会で、2回目となったのがタジキスタンドゥシャンベで2003年に開催された"Nasir Khusraw: Yesterday, Today, Tomorrow"です。こちらの内容は本になっていないようですが、プログラムが公開されています。

http://www.iis.ac.uk/SiteAssets/pdf/nk2003programme.pdf

 

そして3回目は、2005年にロンドンで行われた"The Philosophical Poetry of Nasir-i Khusraw"です。さすがに三番煎じということを考慮したのか、この大会は、主としてナーセル・ホスロウの詩を主題にした研究大会でした。私はこのとき、大使館で仕事をしていたので残念ながら行けませんでした。

これが開催されたとき、イランで新聞を読んでいたら大会のレポートが載っていて、散文の『ロウシャナーイーナーメ』がナーセルの作品かどうか、なんて素朴な議論をまだやっていて、進歩がないな~とか思ったのですが。

その内容をもとにした本が昨年でました。

Pearls of Persia: The Philosophical Poetry of Nasir-i Khusraw

Pearls of Persia: The Philosophical Poetry of Nasir-i Khusraw

 

 結構しょーもない論文も入っていますが、Mohsen Zakeri氏の論考が興味深かったです。説得力はイマイチですが、同じ本に収録されたプールジャヴァーディー氏の説に真っ向から反対し、『ロウシャナーイーナーメ』はナーセルの作品だと主張しています。

 

テヘランでの大会は10年前にも企画されていた

閑話休題

そういうわけで四度目の「ナーセル・ホスロウ学会」になるわけですが、勿論、本当は2004年に開催されるべきでした。実は、2004年頃、テヘランでの記念学会を開催する計画があり、ホームページが開設され、原稿の募集まで行っていたのですが、突如として立ち消えになったのでした。

あとで2009年頃にイランでのナーセル・ホスロウ研究の第一人者であるメフディー・モハッゲグ教授に訊いたところでは、まあ、政権が改革派から保守派に変わって、各省庁の人事もかなり動いたりとゴタゴタしてできなくなった、というようなことを仰っていました。

今回、モハッゲグ教授が絡んでいるのかは知りませんが、10年たってやっとテヘランでのナーセル・ホスロウ学会が実現するということは、やはり「ア」大統領の時代(2005~2013年)が一つの空白期間を作ってしまったということでしょう。(しかし強硬保守派にとってナーセル・ホスロウ研究がそんなに問題あるとは思えないのですが。「ア」政権時代にも、ラスール・ジャアファリヤーン氏編集のイスマーイール派研究の論文集とか出ていますし。多分、人事的な問題もあるのでしょう。)

 

私も、今度こそは応募してみようと思っているところですが、開催時期が微妙です。

ペルシア語のサイトには書いていないのですが、英語の告知を見ると、会期は来年の2月20日から3月6日と書かれています。2週間以上もやるのでしょうか?仕事の都合上、この時期に行くのは難しいかも知れません・・・

 

 

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